まったく新しい「VR映画」を観る時代へ
僕らはそろそろ怒っていい。既存映画に、愛想をつかしていいのです。
いや、映画は毎日見てますし、すごく面白いです。
それに映画の技術はどんどん進歩してきて、1890年に誕生した世界初映画は音のない映画「サイレント映画」だったし、1935年まではずっと「白黒映画」だった。その頃を思えば、今の映画はめちゃくちゃ素晴らしいのです。
しかし、
「作られた作品を、画面のスクリーン上で観る」という映画の仕組みは1890年から何一つ変わってません。CGの技術が発達し、3D映画が生まれ、4D映画館も増えてきたけど、これらは全て「昔の映画にオプションが追加されただけ」レベルの進化と言えます。
「いつになったら、映画の世界の中に入れるの?」
「3D映画って、ただ少し立体に見えるだけじゃないか!」
と、僕らは憤慨していいのですよ。
いま僕は多い日で、1日3,4個ほど映画を見ていますが、どれもこれも結局は「平面上の映像」だし、映画の世界の傍観者に過ぎません。要するに、「別世界の傍観者」な映画観賞に、そろそろ飽きてきてるのです!
しかし! 映画業界も決して遊んでいるわけではなかった。
巨匠スティーブン・スピルバーグや『リング』の中田秀夫監督は、すでにVR技術(バーチャル・リアリティ)を使った新しい映画「VR映画」を作り出しているらしいし、オランダの首都アムステルダムには2016年3月に、世界初の「VR映画館」が誕生した。
いずれ僕らは、「VR映画」というバーチャルの世界を体験できるようになります。
ただ、それはあくまでも最終系の話で、時間はもう少しかかる。
僕の予想では「あと5,6年くらい」でVR映画が増えてきて、映画のライブ体験自体が劇的に変わっていくでしょう。今日は「そんな現在のVR映画状況」から、最終的な「VR映画未来予想」まで一つずつ順番に見ていきたいと思います。
VR映画って具体的にどうなるの?
まだ世の中に登場していないですが、たぶんこんな感じ。
VR映画では自分が主人公になる
ポイントは目線です。
今の映画って「神の目線」や「傍観者的な目線」で見ていますよね。
VR映画になると、360度その世界を見渡せるわけですから、自分が映画の登場人物になったみたいに感じるはずなんですよ。
そうなると「登場してないキャラ」ではなく「主人公」とか「主人公の仲間」として、映画の世界に入り込んだ楽しいし、世界観も成立しますよね。
ってことで、大半のVR映画は、視聴者が「主人公」になるでしょうね。「主人公の味方」や「ラスボス役」とかもあるかもしれません。
「ヒロイン」として映画の世界を見ていくパターンのVR映画も出てくるでしょうね。
VR恋愛映画では「男性向け映画」と「女性向け映画」に分かれる
恋愛作品がVR映画になると、じぶんが恋愛してるような感覚が味わえちゃうわけですよ。
「女性向け」として作られたVR恋愛映画では、かっこいいイケメンの男を見る女性の視点で物語が進んでいき、「男性向け」の恋愛VR映画では、美人な女性とのラブストーリーが体験できる。
「鏡」の前を通って、超美人(イケメン)な自分にウットリ! みたいなシーンもあるでしょう。
また可能性としては、1つのVR映画を「複数の視点」で楽しめるようになることも考えられます。
その場合、VR恋愛映画では「男性eye’s」と「女性eye’s」を選択できるようにしてしまえば、同じストーリーを男女別の視点で見ることができますね。
VR恋愛映画は、絶対流行るジャンルです。
VRゾンビ映画が怖すぎる
当然、ホラー映画もVR映画になるでしょう。低予算で作ることができるゾンビ映画がたくさん作られます。
VRゾンビ映画ですね。
想像してみてください。主人公の目線で、ゾンビで溢れかえる街を歩いていく恐怖・・・。
仲間がゾンビに噛まれ、ゾンビ化していく光景が、本当に「目の前」で繰り広げるのがVRゾンビ映画の醍醐味でしょうね。怖すぎ、です。
360度ゾンビに囲まれた景色を、まるで「現実」のように体験できるVRゾンビ映画。はやく見てみたいですねぇ。
VRアメコミ映画が最高に熱い!
アメコミ映画やスーパーヒーロー映画も、もちろんVR映画になります。ハリウッドが特に力を入れているジャンルですからね。
VRアメコミ映画では、主人公チームのヒーローの目線で物語を体験できます。まるで自分も戦っているような視聴体験ができるので、とくに大衆化・人気化する可能性がありそうですね。
過去の傑作アメコミ作品もどんどん掘り起こされそうです。
アベンジャーズなどのマーベル映画もVR映画としてリメイク(リブート)されるでしょうね。X-MEN映画シリーズもあり得ます。DCコミックス映画もすごいことになりそう。僕がもっとも楽しみなジャンルです。
2016年現在のVR映画の状況
VR映画はまだ気軽に観ることはできない
ぼくはHuluとU-NEXTで映画を見ているんですが、この手のサービスはめちゃくちゃ気に入っています。。
わざわざレンタル店に行かずに済むので、人生において一番大切なの「時間」を消費しないし、レンタルに行く時間や交通費だってバカにならない。それを考えたら、十分に元は取れます。
見たいときに見たい映画を見て、空いた時間で「副業」をした方が、よっぽど「将来の投資」になってお得だと思うんですよね。
これから「VR映画」が普及し出すと、この手の動画サービスは一気に盛り上がって、内容もより充実していくと予想していますが、その辺は後述します。
とにかく、いまVR映画を見たければ、別の行動を取る必要があるので、先にそれをご紹介していきます。
ホラー映画『劇場霊』イベントで無料VR体験ができた「らしい」
去年の11月頃、中田秀夫監督のホラー映画『劇場霊』の公開時、VR映像「劇場霊360°」の体験ができるプロモイベントが行われていたそうです・・・。
会場は全国12箇所。VRヘッドマウントディスプレイの「Gear VR」を装着すると、劇場のステージの上に立っている状態でスタートします。薄暗い客席に人影が見えたり、真横から声が聞こえたり、、、そしてその声が徐々に近づいてくる・・・。
という感じのイベントだったそうですが、
これを「VR映画」として、劇場でやって欲しいのですよ! この手の単発イベントは増えてきていますが、本来の意味でのVR映画とは全然ちがいます。
ほんとうに映画館で「VR映画」を観れる時代は来るのか?
その辺の考察もこの後書いていきますが、
ホラーVR映画は需要があるので、いずれは大衆化するでしょう。期待しておきます。
映画の未来へ!初の長編VR映画『Jesus VR』
ついに「世界初の長編VR映画」がやってきました。
『Jesus VR』という作品です。(「ジーザスVR」と読んでください)。公開予定日は 2016年のクリスマス頃ということで、今からすごい楽しみですね。
で、『Jesus VR』は作品タイトルの通り、「イエス・キリスト」の物語。まるでキリストやキリストの弟子たちが側にいるかのような体験ができる映画だそうです。
視聴方法ですが、Google CardboardやGear VR、あとはOculus Rift、PlayStation VR、HTC VIveなどで観れます。基本的には、すべてのVRプラットフォーム上で利用できるらしい。
要するに、VR映画ってのは、こういったVR機器がないと見れないわけです。
参考→初のVR体験はプレステVR?Oculus Riftやハコスコか?
じゃあ、いつお手軽にVR映画が見れるようになるの? 早くしてよ! ってわけなので、さっそく未来予想を始めていきましょう。
今後のVR映画を未来予想してみる
VRデバイスの普及状況はこうなる
VR映画を見るために必要な「VRデバイス」の普及はこのように予測されています。(インディーゲームデベロッパー・パブリッシャーのSchell Games代表を務めるJesse Schell氏の発言より)
- 2017年末には、据え置きVR端末のビッグ3(PlayStation VR、Oculus Rift、HTC Vive)が計800万台出荷される
- 同じく2017年末、より安価なモバイルVRヘッドセット(Gear VRなど)はその4倍、3200万台も出荷される
- 2023年には、据え置きVR端末は5億台、モバイルVRは20億台へ。
これはつまり、2023年には、今スマートフォンを持っている僕ら全員に「VRシステム」が行き渡る計算です。
2016年時点での世界のスマホユーザーは20億人。予測の誤差はあるにしても、VRデバイスも同じ「20億台」が出荷されます。VRはたった数年でこれだけ普及します。
2023年頃には、みんな当たり前のように「VRコンテンツ」を楽しむ生活を送っているわけですね。
最初はVRゲームが主流となって配信されますが、しだいにVR映画も大衆化していくでしょう。
するとどうなるのか? もう少し考えていきましょう。
VR映画館が流行らないわけ
アムステルダムに誕生したVR映画館ですが、みんなが映画館に行って、ヘッドセットをつけ、VR映画を見る。そういうシステムらしいですが、
それって家でいいじゃん!
となるわけです。
映画館で見ようが家で見ようが、「ヘッドセットの中」を覗いて映画を見るわけので、映画館に行く意味はありません。家で同じ体験ができるわけですから。
これまでは、音響やらスクリーンの大きさやらで、「映画館で観る映画 > 家で観る映画」だから映画館に行っていたのに、これでは誰も映画館に行かなくなるでしょう。
ちなみに映画館があんなにガラガラでも潰れないのは、15%ほどの稼働率で利益が出るからですが、さすがにVR映画をひたすら見せるだけの映画館は、はやい段階で潰れます。
家でVR映画が楽しめるなら、わざわざ映画館に行かないですよね。VRデバイスが普及されると、映画館に通う時間があるなら家でもう1本多くVR映画が見る、っていう状況になります。
VR映画は家で没頭して見るようになる
VRの最大の特徴は「没頭」です。
まるで異世界の中のごとく、上の画像のように視覚と聴覚がコンテンツの中に入り込み、VRに没頭してしまうのです。
VRはゲームだけではありません。VR映画も、とんでもなく没頭できてしまうコンテンツになるでしょう。まるで主人公になったかのように、映画の世界を見渡し、ヒロインと恋愛し、悪と戦うことができます。
その間、「現実世界」のことなんか忘れることができるのです。
既存の映画館がダメなところは、隣の知らない人に没頭感を阻害されてしまうところ。VR映画でも(音や動きで邪魔されることはなくなりますが)、香水や体臭の匂いで邪魔されることはあり得ますよね。
つまり、より没頭したいなら、家で一人でVR映画を見るのが「大正解」なわけです。
VR映画どのように視聴するのか?
未来予想その1:VRデバイスがプラットフォームになり直接ダウンロードと視聴ができる
VRデバイスは、2020年頃には、それ自体が「プラットフォーム化」すると言われてます。
これをスタンドアロン型と呼び、PCやスマートフォンに接続する必要もなく「それ単体で動作が行える」ようになるのです。
VRデバイスさえあれば、直接インターネットに繋ぎ、VR映画やVRゲームを直接ダウンロードできるわけですね。
VRデバイスが、今のスマートフォンのような存在になっていることも十分考えられます。わざわざ「手で」スマホを持つなんてナンセンスだ! という時代が来れば。
あるいは、VRデバイスとスマートフォンが完全に融合した新デバイスが登場するかもしれませんね。
あと10年もすれば、VRはごくごく当たり前の機能の1つになるのです。
未来予想その2:外骨格VRデバイスが進化し、VR映画で触った感触が得られる
外骨格VRデバイスの役割は、じぶんの身体の動きを仮想現実に反映させること。
要するに現実の手を動かすことで、VRの中の手も動いたり何かの物体を動かしたりできるわけ。さらには、VRの中で何かを触ると、実際にその感触をフィードバックしてくれます。
こういった外骨格VRデバイスの技術もどんどん進化していくと、VR映画にも生かされていくるかもしれません。
たとえば、行き止まりの場所で手を伸ばすと壁の感触を感じたり、手を空にかざすことで太陽の光が弱まったり。
VR映画に使える技術ではあると思いますが、相当テクノロジーが進化しないと厳しいかもしませんね。こういうVR映画が誕生するのは、2030年くらいでしょうか。
未来予想その3:huluやU-NEXT、AmazonビデオのようなサービスがメインとなってVR映画を配信(配給)する
VR映画が大衆化すれば、当然ながら、「ネット視聴」が映画の主流になります。
映画館にいく人は今よりも遥かに減り、多くの人が僕がhuluやU-NEXT、Amazonビデオのようなサービス上で、映画を見るようになるでしょう。
これは、配給会社が「映画館」に配給せずに直接、市場に映画をリリースするようになるということを意味します。
映画の「ネット視聴」が主流になっていくのに合わせて、VRデバイスも普及されていくので、だいたい2025年頃には、誰もがネット上でVR映画を楽しむ未来がやってくるでしょう。
ライブ体験を提供できない本屋がどんどん潰れていくように、新たなライブ体験を作り出せない映画館は、どんどん潰れていきます。
今だって、HuluやU-NEXTを使えば早い段階で「新作映画」を見ることができますし、未来では最新作を「ネットで映画を見る」のが当たり前になっているでしょう。
もちろん、VR映画が大衆化せず、あくまでも主流は既存の映画ってことなら別です。でも、映画はぜんぶVR映画になると思うし、そっちの方がきっと楽しくなるはずですよねぇ。