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ジョージ・A・ロメロ監督のゾンビ映画、あらすじと時系列を大解説!(リメイク映画含む)

ジョージ・A・ロメロ監督の名作ゾンビ映画サバイバル・オブ・ザ・デッドの登場ゾンビと画像

ゾンビ映画の巨匠ジョージ・A・ロメロ監督のゾンビ映画『全8作品』を解説します!

ジョージ・A・ロメロ監督のゾンビ映画一覧(オリジナル映画)

ジョージ・A・ロメロ監督の撮った映画で、いわゆる「ゾンビ映画」と言われるものは次の6作品です。

  1. ナイト・オブ・ザ・リビングデッド(1968年)
  2. ゾンビ(1978年)
  3. 死霊のえじき(1985年)
  4. ランド・オブ・ザ・デッド(2005年)
  5. ダイアリー・オブ・ザ・デッド(2008年)
  6. サバイバル・オブ・ザ・デッド(2009年)

『ロメロ監督・ゾンビ映画の初期三部作シリーズ』と呼ばれてますのが、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』と『ゾンビ』、『死霊のえじき』の3作品。

詳しくは後述しますが、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』がなければ、現代のゾンビ映画の流行も、いや「ゾンビ映画」というジャンルそのものが確立していなかったはず……。当時はとても革命的で、今では古典的なゾンビ映画となっています。

つづく『ランド・オブ・ザ・デッド』(2005年)は「初期三部作」の流れをくむゾンビ映画。しかもこの映画は、過去のシリーズとの「設定上の繋がり」が垣間見えます。なので、時系列やストーリー性の観点から見ると、

ロメロ監督の『初期三部作』+『ランド・オブ・ザ・デッド』=ロメロ監督の『四部作』という見方ができると思いますね。

実際、「ゾンビの発生」から「人類が追い詰められる」までの流れが、この4つ映画のなかで順番に描かれていってます。『ランド・オブ・ザ・デッド』の主人公ゾンビのビッグ・ダディは、明らかに前作『死霊のえじき』に出てくるゾンビ・バブを意識されて、その延長上に作られたキャラクターです。

なので、「ロメロ監督のゾンビ映画シリーズは『四部作』だ!」と考えるのがおすすめですね。

『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』『ゾンビ』『死霊のえじき』『ランド・オブ・ザ・デッド』という4つの映画を「時系列」にそって観ていくことが、ロメロ監督のゾンビ映画をより楽しるコツなのです。

さらに、ジョージ・A・ロメロ監督は社会の変化に合わせ、新たに2つのゾンビ映画を作りました。インターネットが発展した現代社会にゾンビが発生したらどうなるか?という視点で「ゾンビの発生」からのストーリーが描き直されたシリーズ。それが、

『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』(2008年)『サバイバル・オブ・ザ・デッド』(2009年)です。

この2つのゾンビ映画は、ゾンビの「ルール、常識」を作り上げたジョージ・A・ロメロ監督が再び「低予算のゾンビ映画界」に戻ってきた作品。単に怖いだけではなく、ロメロ監督のユーモアたっぷりな社会風刺が満載の映画です。

SNSやYouTubeなども出てくる世界観なので、現代人によってもおすすめですね!とくに『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』はホラー映画としてもよく出来ていて、とても見応えがあるので個人的にも大好きです。

『ランド・オブ・ザ・デッド』は「Hulu」という動画サイトで限定配信中です。『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』は「TSUTAYA TV」で視聴できました。

『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』『ゾンビ』『死霊のえじき』については、古い映画なので探すのが大変です。調べたんですが、「TSUTAYA TV」なら簡単に自宅に配送レンタルしてもらえるそうです。ぜひ確認していてくださいね。

ジョージ・A・ロメロ監督のゾンビ映画一覧(リメイク映画)

ジョージ・A・ロメロ監督のゾンビ映画は、リメイク版も大ヒットを飛ばしました。それが次の2作品。

  1. ドーン・オブ・ザ・デッド(2004年)【リメイク】
  2. デイ・オブ・ザ・デッド(2008年)【リメイク】

『ドーン・オブ・ザ・デッド』(2004年)【リメイク】は、マイナーだった「ゾンビ映画」というジャンルをハリウッドが見つめ直し、より大衆的なエンタメ映画として再生産した映画。現在もめちゃくちゃ人気でどのレンタル店に行ってもこの『ドーン・オブ・ザ・デッド』だけDVDとBlu-rayの本数が他のゾンビ映画の何倍もあるという状態。何年も前からずっと「名作映画」として多くの人に愛されてますね。

『デイ・オブ・ザ・デッド』は「サバイバル・ゾンビ・ホラー」というジャンルの佳作映画。似たようなジャンルだと、『バイオハザード』の映画が近い作風です。でも『デイ・オブ・ザ・デッド』の方が、(バイオハザードほど)主人公が強くないので、より一般人目線でドキドキハラハラさせてくれます。『バイオハザード』が好きな人はきっとハマるはずです!

じつは『ドーン・オブ・ザ・デッド』は「dTV」という動画サイトで配信されています。月額550円(税込)で映画見放題のサービスですが、31日間の無料体験を使えば、いろんな映画が「無料」で見れるのでお得ですよ。

『デイ・オブ・ザ・デッド』も2017年3月31日まで「U-NEXT」で配信。あと「Hulu」でも視聴できたので、よかったら観てください!

その他の名作ゾンビ映画が知りたい人は、下記の記事を参考になるかと思います。

関連記事ゾンビ映画の名作一覧!おすすめのゾンビ作品を最新作まで徹底解説【初心者OK / 随時更新】

それでは、ジョージ・A・ロメロ監督のゾンビ映画を1つずつ振り返り、あらすじや見どころを解説していきます!

ジョージ・A・ロメロ監督のゾンビ映画『初期三部作』シリーズの時系列とあらすじ一覧

ナイト・オブ・ザ・リビングデッド(1968年)

ジョージ・A・ロメロ監督のゾンビ映画ナイト・オブ・ザ・リビングデッドの画像

映画『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』のあらすじ

ジョニーとバーバラの兄妹は父親の墓参りの途中、突然無言の男に襲われる。気絶した兄を残し、バーバラは近くの農家に逃げ込むが、たちまち周囲はゾンビに包囲されてしまった。他に逃げ込んできた黒人のベン、若いカップル、中年夫婦とその娘とともに脱出を試みるが、集まった人間はくだらない言い争いで対立するばかりで・・・。

この映画は、現在まで広く浸透している《ゾンビ》という存在を定義し、あらゆる名作ゾンビ映画の「原点」と言われている、めちゃくちゃ歴史的な作品。

それまでゾンビという存在は、ハイチという国の民間信仰であるブードゥー教が起源の、魔術師によって生み出された「死んでもなお動く奴隷」というの存在でした。このゾンビの概念をという存在を根底から変えたのが、そう、ジョージ・A・ロメロ監督です。ロメロ監督はこの『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』の中で、ゾンビを以下のように定義しました。

  • ゾンビは人肉への欲求がすごくて、人を襲う。
  • ゾンビは火を怖がる。
  • ゾンビは頭を撃ち抜くまで死なない。

これらはすべて、現代のゾンビ映画の「ゾンビ」と一致してます。

「とても遅いスピードでのそのそ歩く」、「ゾンビ映画では『黒人』が活躍する」というのもジョージ・A・ロメロ監督流のゾンビ映画の特徴です。今でこそ『28日後…』やリメイク版『ドーン・オブ・ザ・デッド』などで「走るゾンビ」というのは登場しましたが、それ以前のゾンビといえば、ロメロ監督がつくりだした上記のゾンビ像が全てだったのです。

実は、ロメロ監督は『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』の著作権が失っています。その結果、著作権を取り戻すために作られたのが『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド/死霊創世紀』(1990年)というリメイク映画。ロメロ監督が単純に作り直しただけなので、このリメイク版の基本的な設定やストーリーはオリジナル版とまったく同じです。

白黒映画ではなくフルカラーになっていたり人間がより残虐になっていたり、時代の変化に合わせて女性のヒロインが強い性格になっていたり、などの違いはありますが、ほぼ同じです。なので今から見るなら、見た目が綺麗な「リメイク版」がおすすめ。というか、1968年版のオリジナルDVDは、どこのレンタル店にも置いてないと思います。

ゾンビ(1978年)

ジョージ・A・ロメロ監督のゾンビ映画ドーン・オブ・ザ・デッド(原題)の登場人物

映画『ゾンビ』のあらすじ

ゾンビ発生から3週間後、ゾンビ化した死者は増加しつづけ社会は混乱におちいっていた。フィラデルフィアの特殊部隊員ピーターとロジャー、テレビ局のプロデューサーで妊婦のフランと恋人のスティーブンの4人は、ヘリコプターでとある巨大ショッピングモールに避難する。大量の物資は確保できたが、施設内にはゾンビの大群がウヨウヨしていて・・・。

この『ゾンビ』という映画は、大型ショッピングモール(デパート)で大量消費をする国民を「ゾンビ」に見立てた作品で、とても社会風刺というかメッセージ性が強い映画。BGMやゾンビの服装・動きがとてもコミカルで、今見ると怖いというか“笑える”内容になってますね。ロメロ監督は絶対にふざけて楽しんで撮影したんだなというのがすごく伝わります。

しかし、この社会風刺自体は「大量消費」の時代が終わったぼくらにはイマイチ伝わりません。もうそんなに大量に買い物をする時代ではないですからね。現代風に置き換えるならどうでしょう。「スマホばっかり触ってるなよ!」とか「何も考えずメディアに踊らされて生きるのはダメだぞ!」のような感じですかね。この『ゾンビ』という映画の発信したメッセージの当時の衝撃度は、現代人に置き換えるとそんな感じだと思います。

今やこの『ゾンビ』という映画は、そのリメイク版である『ドーン・オブ・ザ・デッド』(2004年)の方が有名になってしまいました。リメイク版はリメイク版で「サバイバル要素」がすばらしいのですが、「ロメロ監督の社会風刺」がごっそり省かれてしまっているのでロメロ監督ファン的にはちょっと悲しい。なので、「ロメロ監督のユーモアあるゾンビ映画」が観たい人はオリジナル版『ゾンビ』も視聴しておくのがおすすめです。

死霊のえじき(1985年)

ジョージ・A・ロメロ監督のゾンビ映画死霊のえじきの登場人物

映画『死霊のえじき』のあらすじ

すでに地球はゾンビに埋めつくされていて、生き残りの人間は地下へと追いやられていた。地下で研究を続ける科学者サラもその1人。やがて実験材料として手なずけていた「バブ」という名前のゾンビが幼児レベルの知性や運動能力を取り戻すも、自己中心的な軍人と科学者の対立により、人間の仲間割れがはじまって・・・。

この『死霊のえじき』という映画は、「ゾンビが人間に戻っていく」「ゾンビも知性を取り戻す」という衝撃的なテーマを扱った作品です。邦題だとわかりにくいですが、英語の原題では、

  1. ナイト・オブ・ザ・リビングデッド(邦題: そのまま)
  2. ドーン・オブ・ザ・デッド(邦題: ゾンビ)
  3. デイ・オブ・ザ・デッド(邦題: 死霊のえじき)

となります。つまり、「夜(ナイト)」→「夜明け(ドーン)」→昼間(デイ)」という時系列の経過をあらわしています。一作目でゾンビが発生し、二作目でゾンビが人間を追い詰められ、三作目ではゾンビによって人類はもはや地下に追いやられているのです。

そこに来て、ゾンビも「人間の知性」を取り戻すかもしれないという1筋の希望が差し込んでくるのですが、それでも相も変わらず、人間はつまらないことで言い争いをし、殺し合いをしている。『死霊のえじき』はそういう人間の醜さを風刺したすばらしい映画です。

『死霊のえじき』もリメイク版としての映画『デイ・オブ・ザ・デッド』がありますが、こうした社会風刺やメッセージはすっかり無くなってしまってます。というか『デイ・オブ・ザ・デッド』は、設定やストーリーも何もかも違う「まったく別の映画」です。個人的には、何も考えず楽しめるサバイバルホラー映画として、『デイ・オブ・ザ・デッド』もなかなか楽しめたゾンビ映画ですけどね!

ジョージ・A・ロメロ監督、2000年以降のゾンビ映画の時系列とあらすじ一覧

ランド・オブ・ザ・デッド(2005年)

ジョージ・A・ロメロ監督ゾンビ映画ランド・オブ・ザ・デッドの登場人物

映画『ランド・オブ・ザ・デッド』のあらすじ

生き残った人間たちは、ゾンビで溢れた終末的な世界で協力し合うどころか、高層ビルに住む裕福層と一方的に虐げられているスラムの貧民に二分している。だがその裏では、ゾンビ達は自我を持ちはじめ、団結し、人類への大規模な攻撃をしかけようとしていた・・・。

初代三部作に『ランド・オブ・ザ・デッド』を含めて、『ロメロ監督の四部作』にしてもいいんじゃないの?という話を冒頭でしましたが、この映画の見どころはたくさんある。

まず「三つ巴の戦い」であること。権力者側の人間と支配されている貧困層の戦いに、結束しだしたゾンビたちが乱入してきます。「人間 vs 人間 vs ゾンビ」という構図は、他のゾンビ映画にも見られないユニークなストーリーになってます。

さらにこの『ランド・オブ・ザ・デッド』は、ロメロ監督のゾンビ映画のなかで「最初で最後の大作ゾンビ映画」とも言える作品。ハリウッド映画的な王道ストーリーに、主人公がスター俳優サイモン・ベイカーという、それまでのロメロ監督が撮ってきた「低予算ゾンビ映画」とは一線を画するレアな映画に仕上がってます。

実際、過去作のように黒人を主人公にしたかったロメロ監督はハリウッドの大手スタジオの要請に応えつつも、自分のカラーを導入しようと「ビッグ・ダディ」という黒人ゾンビを裏の主役にしたのです。ロメロ監督の“最初で最後”の大作ゾンビ映画になったので、『ランド・オブ・ザ・デッド』はものすごく貴重な映画です。大作映画好きのぼくとしては、『ランド・オブ・ザ・デッド』はあらゆるゾンビ映画の中でも「TOP3」に入るくらい好きなゾンビ映画ですね。

ダイアリー・オブ・ザ・デッド(2008年)

ジョージ・A・ロメロ監督のゾンビ映画ダイアリー・オブ・ザ・デッドの登場人物

映画『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』のあらすじ

ジェイソンら、ピッツバーグ大学映画学科の学生たちは卒業制作で自作ホラー映画を撮影していた。しかしゾンビが人を襲い始めたという動画が突如ネット上に出まわり、街は気づけばゾンビだらけ。ジェイソンはこの惨劇を記録し報道するため、ひとりカメラを回し続けるが・・・。

『ランド・オブ・ザ・デッド』という大作ゾンビ映画を作り上げたロメロ監督は、この『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』で「低予算ゾンビ映画」の世界に戻ってきてくれました。しかも新たに「ゾンビの発生」から“現代版”として描きなおしてくれてます。

日本では、SNSやYouTubeの出現によって報道やメディアのあり方が変わり、個人が発信者として「趣味」で活躍できる時代となりましたね。

そんな現代にゾンビが現れたらこんな感じ?ロメロ監督はこの映画で、「ゾンビ劇」をネットに載せるために撮影をつづけるジェイソンを通し、現代人の異様な「SNS中毒」を揶揄してくれているのです。『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』はそんな現代への社会風刺を含みつつも、ホラー映画としてもよくできている“けっこう怖い”ゾンビ映画ですね。

サバイバル・オブ・ザ・デッド(2009年)

ジョージ・A・ロメロ監督の名作ゾンビ映画サバイバル・オブ・ザ・デッドの登場ゾンビと画像

映画『サバイバル・オブ・ザ・デッド』のあらすじ

プラム島ではゾンビを生かすべきか殺すべきかの争いが起きていた。「殺すべき派」のパトリックは、数で勝るマルドゥーンに島から追放されるも、インターネット上で「プラム島は安全な島だ」という動画を公開。それから3週間後、軍から脱走した元軍人のサージらが、この情報を知り半信半疑でプラム島へ向かうが、そこで見たものは、鎖につながれ生前の行動をただ繰り返すだけのゾンビたちだった・・・。

この『サバイバル・オブ・ザ・デッド』の主人公は元軍人で現・放浪強盗団リーダーです。じつはこいつらは、前作『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』で主人公の大学生たちを襲撃した奴らです。というわけでこの映画もゾンビが発生した現代を描いた作品ですが、前作とは作風が大きく違います。

1つは西部劇をテーマにしている映画だということ。ふつうの西部劇の中にゾンビが発生したという感じです。なので前作と違って「現代感」は全然ないですし、メインとなる舞台も「超田舎の島」で、馬に乗ってるような人たちが登場します。

もう1つは、人間ドラマがメインだということ。前作はホラー感が凄かったですが、『サバイバル・オブ・ザ・デッド』はぶっちゃけ全然怖くないし、アホな人間同士の争いが全面に出てきてます。「ゾンビが発生しても、なおくだらない言い争いや主義主張をしつづけるアホな人間たち」というのは第一作目のゾンビ映画『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』から表現しつづけてきたジョージ・A・ロメロ監督のテーマですからね。ロメロ監督のブレなさは素敵だなと思います。

ジョージ・A・ロメロ監督ゾンビ映画の『リメイク映画』の時系列とあらすじ一覧

ドーン・オブ・ザ・デッド(2004年)【リメイク】

ジョージ・A・ロメロ監督のリメイクゾンビ映画ドーン・オブ・ザ・デッドの登場人物

映画『ドーン・オブ・ザ・デッド』のあらすじ

主人公のアナは普通の看護師。ある朝徹夜明けで帰宅したアナは突如隣家に住む少女に襲われる。なんとか脱出した彼女だが、そこは街全体が感染したゾンビが溢れ、壊滅状態に陥っていた。藁(わら)をもすがる思いで、ショッピングモールへと逃げ込むのだが・・・。

この映画は『ゾンビ』(1978年)のリメイク映画。だけど、ジョージ・A・ロメロ監督はノータッチで製作に関わっていないのでオリジナル版の映画とはまったく違う作品になってます。オリジナル版『ゾンビ』とリメイク版『ドーン・オブ・ザ・デッド』の共通点はと言うと「大型ショッピングモールに立てこもる」くらいな気がしますね。

一方、相違点はかなり多くて、

  • 全力でゾンビが走る
  • ユーモア(社会風刺)がなくなってる。
  • 登場人物が多くなっている。

など。「ゾンビはゆっくりと歩くものだ!」というロメロ監督の発想から大きく離れ、リメイク版では(『28日後…』の影響で)ゾンビが全力疾走してきます。これによりスリリングなサバイバル感は増しましたが、「徐々に追い詰められていく恐怖」を感じられなくなってますね。登場人物が増えているので、魅力的なキャラが多い印象。序盤でめちゃくちゃ嫌な奴だったCJが、いつのまにか良い奴になってて笑ってしまいますが、主人公含め、「誰が生存するのか」という視点で見ると最後まで飽きずに楽しめると思います。

デイ・オブ・ザ・デッド(2008年)【リメイク】

ジョージ・A・ロメロ監督のリメイクゾンビ映画デイ・オブ・ザ・デッドの登場人物

映画『デイ・オブ・ザ・デッド』のあらすじ

演習という名の下、軍に緊急封鎖された田舎町では「風邪に似た伝染病」が蔓延している。主人公のサラはこの町に住む母親を説得して病院へ向かうが、院内はすでに感染した患者で混乱状態にあった。やがて感染者たちはゾンビ化し、住民や軍人を襲い始めてしまう・・・。

『デイ・オブ・ザ・デッド』は、映画『死霊のえじき』(1985年)のリメイク映画。ですが、オリジナル映画とは「舞台も設定」もまるっきり違ってます。あらかじめ「この映画はジョージ・A・ロメロ監督のリメイク映画だよ!」と聞かされてなければ、ぼくは気づかなかったというレベルです。

ただ、共通点を挙げるとすれば、

  • 『死霊のえじき』:バブ(というゾンビ)が人間に向かって銃を撃つ
  • 『デイ・オブ・ザ・デッド』:ゾンビになったバドが銃を撃つ

というシーン。オリジナル版のバブは、人間の博士によって知性を回復して、最後は人間の武器である銃を使えるようになってました。一方リメイクされた『デイ・オブ・ザ・デッド』では、生前ベジタリアンだったためゾンビになっても人を襲わないバドという青年が、最後の方のシーンで銃を使うのです。「ベジタリアンのゾンビ」っていう斬新な設定は笑ってしまいますが、明らかにバブを意識したキャラクターなので、ロメロ監督ファンとしてはけっこう嬉しかったですね。

サバイバル系のゾンビ映画としては『バイオハザード』が有名ですが、この『デイ・オブ・ザ・デッド』も十二分に面白いです。ぜひ見てくださいね。

関連記事映画『バイオハザード』の順番と最新作へのあらすじを時系列で解説!(アニメ映画&ゲーム版も追記)

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