こんにちは。ねこまるです。
先日こういうエントリを書きました。→アーティスト赤西仁さんに学ぶ「自分らしさ」と「説得力」
多くの反響があったことに驚きましたが、同時に「これから男性同伴ライブが意外と流行るかもな~。」って思ったので、今日はそれについて書いていたいと思います。
赤西仁主催の男性同伴ライブとは
まず、そもそもなぜ話題になったのか?
下のデータは、2014年度までの10年間のコンサート公演数の推移です。
公演数は年々増加傾向にあり、昨年は10年ほど前に比べ、約2倍もの数の公演が行われました。
また、それに合わせ入場者数も明らかに増え続けています。
コンサート事業全体の売上高が伸びていますね。
つまり、業界全体として、CDが売れない分をコンサートで補っているという状態のようです。
CDが売れない背景に「YouTubeやiTunesのような、簡易な視聴や1曲単位でのダウンロードで満足or十分」という消費者心理がある一方で、
「ライブやコンサートにはお金を出しても良い。」という人がここ最近は増えている、というのが上のデータから読み取れます。
また、「公演数や会場の規模で、そのアーティストの人気が分かる!」ということも言えますので、違う見方をすれば、「好きなアーティストのライブにどんどん足を運ぶことでそのアーティストのサポートができる。」と考えることもできます。
(すでに実質的にはそれに近い状態になっているようで、【例:赤西仁の「JIP’s」,ももいろクローバーZの「モノノフ」】などのように、ファン自身が自分達のことを「他の人達とは区別するための名称」で呼ぶことが流行っています。)
コンサート業界が注目されている
このような状況もあり、アーティストが行う色んな「限定ライブ」が最近増えていることは、皆様もご存じかもしれません。(FC限定、未成年限定、CD購入者限定・・・など)
で、その中でも一番多いのはこれ
「男性限定ライブ」
過去ざっと男性限定ライブを行ったアーティストを挙げると、
福山雅治、UVERworld、西川貴教、ももいろクローバーZ、嵐・・・etc.
男性限定ライブがなぜこんなにも多いのか、そして赤西仁さんが行う男性同伴ライブとは何が違うのか、ということを順を追って見てみたいと思います。
「男性限定ライブ」がなぜ多いのか
下の図を見て下さい。
一般的に、女性は男性よりも消費性向(所得のうちどれくらい消費にお金を使っているか、の割合)が高いということが分かっています。
年収が相対的に少ないから。というわけではありません。
年収が同じくらいの男女を比べても、女性の方がより多くの消費をしているのです。(総務省「全国消費実態調査」より)
やはり、ここはビジネスですから「ファンを増やすこと」の目的は「お金を使ってもらうこと」です。
これまではというと、
①「知ってもらおう!」
↓
②「音楽を聴いてもらおう!(CD以外)」
↓
③「CDを買ってもらおう!」
↓
④「ライブに来てもらおう!」(ここまで行けば完璧)
というプロセスでした。
近年、無料聴取層という「無料でしか音楽を聴かない人たち」が増えていますから、②から③へのハードルは髙いです。
さらに、無料聴取層(既知楽曲のみ)という「昔聴いてた音楽しか聴かない(しかも無料)という人たち」が増えていますから、②へのステップですら、年々厳しくなってきています。
そんな状況の中、誰かが考えました。
「CDが売れないなら、直接ライブに来てもらおう!」
つまり、
①「知ってもらおう!」
↓
②「音楽を聴いてもらう!(CD以外で)」
↓
③「ライブに来てもらおう!」
↓
④「CDを買ってもらおう」
という発想に変わりました。
ライブをより楽しむためには、事前に曲を覚えていかなくてはいけません。シングル曲だけでなくアルバム曲も。
ということはCDアルバムの売上アップも見込めるかもしれません。ライブ会場でも販促活動もできます。
そこで作り出されたのが
「男性限定ライブ」です。
心理学的に言えば、人は希少性のあるものに弱いですから、『限定』というワードが付けば、それだけで、興味・関心が沸いてきます。
ただ、これにも問題がありました。
男性ファンの絶対数が少ないアーティストの場合、すんなりとチケットを買ってくれる人はそんなに多くありません。
それでも、なんとかあの手この手で男性にチケットを買ってもらえるように努力してきたわけですね。
そんな中、赤西仁さんから先日ある発表がありました。→赤西仁「男性同伴コンサート」で女性ファン大混乱!
「男性同伴ライブ」という発想
赤西仁さんが9月24日に行う予定の「男性同伴ライブ」とはいったい何なのか。
男性限定ライブとの違いを見てみましょう。
男性限定ライブ | 男性同伴ライブ | |
---|---|---|
開催の狙い | 男性ファンの獲得 | 男性ファンの獲得 |
なるほど。
男性ファンを獲得したいという思いは同じです。
次に参加の経緯を比べてみます。
男性限定ライブ | 男性同伴ライブ | |
---|---|---|
参加の経緯 | 主に自ら参加 | 既存ファンに誘われて参加 |
男性限定ライブでは、男性が自らチケットを取り、自らの意志でコンサートに参加します。
一方、男性同伴ライブでは、既存の女性ファンが知り合い等を誘い、男性を連れてきます。
しかも、その男性たちは、今までなかなか手の届かなかった客層も含まれているでしょう。すでにある程度興味をもってもらえている男性が、自らの意志で来場する「男性限定ライブ」とはわけが違うのです。
この場合、男性の集客は既存ファンの頑張りにかかっていますが、赤西仁さんは「男性同伴」をこのライブの参加条件にしていますので、ファンも必死なはずです。
「男性1人連れてこないとコンサート参加不可!」
と言われれば、頑張らないわけにはいきません。
では、上の記事の中で「女性ファン大混乱!」「出会い系コンサート!?」というセンセーショナルなワードが使われていますが、実際のところはどうでしょうか
まとめてみましょう。
男性限定ライブ | 男性同伴ライブ | |
---|---|---|
女性ファンのメリット | (後日、DVD等で)視聴する →アーティストの違った一面が見れる | 自らも参加できる →男性とファン心理を共有できる |
女性ファンのデメリット | そもそも参加できない | 同伴者を見つけなければならない |
よくよく考えると、「自分も参加できる」という、女性ファンにとってすごく嬉しい企画であることが分かります。
さらに右上の「ファン心理の共有」です。(←ここが非常に重要)
実は女性は、横の繋がりをとても大切にすると言われています。
そして、「自分の好きなものや自分の感情を、他人に分かってもらいたい」、「共感してもらいたい」と強く思っています。
これについては、メンタリストDaiGoさんが出している「男女脳戦略」という本に、その理由がきっちりと書かれています。
この本の中で、DaiGoさんは「女性と男性が持つ脳の違い」5つの違いを取り上げ、その傾向や対策を語られています。
例えば、「異性の上司に気に入られる、さり気ない一言」だったり、「相手の脳のタイプに合わせたパフォーマンスで営業成績を上げる方法」だったり、
「異性への何気ない言葉で、すれ違いや喧嘩に発展しない為のコツ」など、多くのシーンやシチュエーションで使えるテクニックがたくさん紹介されています。
話を戻しましょう。
男女における脳の違いのうち1つに、「競争」と「共感」があります。
大半の男性が持つ男性脳では、「競争」が重視され、あらゆる会話や行動の中で、「相手よりも優位に立ちたい!」という意識が働いています。
一方、多くの女性が持つ女性脳では、「みんなと同じ立場に立ち、人間関係を深めたい!」という意識が根付いています。
実際に、この違いは、日常のあらゆる購買行動や twitter のリツイートの仕方など、生活の至るところで目にすることができます。
DaiGoさんによれば、これは、遥か昔の原始時代のこと。男性が狩猟で競い合い、女性は集落の人間関係を平穏に保たなければいけなかったという、古い時代から受け継がれてきた脳の記憶によるものだそうです。
つまり、女性は、
「シェアしたい!!!!!」と思い、
男性は、
「出し抜きたい!!!!!」と思っているのです。
したがって、女性が男性をライブに誘うことで、好きなアーティストをシェアできますし、
男性の方も、特に気になる女性から誘われた場合には、(恋愛競争の中から)出し抜けることができるので、お互いにとってwin-winなわけです。
先日のエントリを書いた後、とてもたくさんのRTやコメントを頂きましたが、
その内容は、「男性ファンが増えると嬉しい!」「自分と同じことを思ってくれていて嬉しい。」
「自分の気持ちを代弁してくれて感動しました!」といったものばかりでした。
中には、
「赤西仁くんが喜ぶことは、私も嬉しい。」という声までありました。
これらはすべて、女性脳が持つ、「非常に優れた共感能力」から生まれた言葉や感情です。
改めて一度見てみましょう。
男性(同性)限定ライブ | 男性(同性)同伴ライブ | |
---|---|---|
女性ファンのメリット | (後日、DVD等で)視聴する →アーティストの違った一面が見れる | 自らも参加できる →男性とファン心理を共有できる |
女性ファンのデメリット | そもそも参加できない | 同伴者を見つけなければならない |
女性ファンの気持ちを理解したようなライブを打ち出せるところも、赤西仁さんの魅力の一つなのかもしれませんね。
また、「女性ファンが多い女性アーティスト」の場合も、「男性同伴ライブ」は効果的だと私は思います。
ちなみに、これとは逆の、(男性ファンが女性を誘う)「女性同伴ライブ」の場合はどうでしょうか?
どこかで耳した「男性のオタクに誘われたら女性が引くから。」とかいう理由ではなく、これも男女の脳の違いで説明できます。
詳しく知りたい方は、ぜひこの本を一度読んで見て下さい。
さて、最後に一つ見ておきましょう。
男性限定ライブ | 男性同伴ライブ | |
---|---|---|
会場の雰囲気や 参加者同士の関係性 | 熱狂的な一体感 | ? |
赤西仁さんの男性同伴ライブは、9月24日の東京・渋谷公会堂で行われますが、
会場の雰囲気や参加者同士の関係性は、体験した人にだけしか分かりません。
(同伴者を探している女性ファンはまだ居るそうなので)男性の皆様は、過去例を見ないこのコンサートを体験してみるのも面白いかもしれませんよ。(twitter等のSNSで探せばたぶん見つかります)
ちなみに、女性の皆様は(「すごくいい歌だよ!」「すごく良いよ!」といった共感ベースの言葉ではなく)男性脳が持つ、競争心をくすぶるような誘い文句を使うと良いかもしれません。
赤西仁男性同伴ライブのまとめ
というわけで、男性同伴ライブについて自分なりに考察してみました。
この企画も含め、今後も新しい試みをしてくれる赤西仁というアーティストに注目していきたいと思います。
ねこまるでした。
追記:男性同伴ライブ後のニュース報道
男性同伴ライブ後のニュース報道をまとめてみましたので、良かったら読んでみて下さい。